ウナギの釣り方・捕り方
ウナギの釣り方・捕り方



○ウナギを釣る・捕る上での注意

・体長制限
ウナギは水産資源として重要な魚種のひとつです。そのため、各都道府県の漁業調整規則中に体長制限が設けられています。 都道府県にもよりますが、罰則規定があることもあります。
※参考までに、愛知県では第三十五条の規定により、全長 二十センチメートル以下(佐久間湖においては、全長三十センチメートル以下)の個体の採捕が 禁止されています。
また養殖用としてシラスウナギが全国で漁獲されていますが、これらは特別採捕許可に基づき漁獲されたものであり、この 許可がない限り漁業調整規則の制限サイズ以下の個体は採捕することができません。

・漁法の制限
漁業調整規則中には体長制限の他にもさまざまな規定がありますが、漁法についても多くの制限があります。 漁法の制限については多くの場合、漁業者および漁業従事者と、そうでない者(遊漁者)に分けられています。
たとえば愛知県の場合、第四十八条によれば遊漁者は基本的に竿釣及び手釣、投網、四つ手網(三メートル平方未満の網に限る。)、 たも網(火光を利用して使用するものを除く。)、動力を利用しない瀬干漁法、やす及びは具、徒手採捕以外の方法で 魚介類を採捕することができません。このような規定は、程度は色々ですが各都道府県に存在するため 注意が必要です。また、漁業調整規則の他にも、漁業権のある地域では遊漁規則が定められており、この中にも 漁法等の制限がある場合があります。

・さいごに
これは当然の事かもしれませんが釣り場でのマナーは守りましょう。マナーを守ってこそ、楽しいウナギ釣り、ウナギ捕り ができるのだと思います。



○ウナギの釣り方・捕り方

・ペットボトル釣法
私が最も多用しているのがこの釣り方です。500mlペットボトル(角型が良い)に道糸(3〜5号)を30mほど巻き付け、その先に ナス型おもり(6〜8号)と、ハリスを20cmほどとってウナギ針を結びます。ペットボトルには水を5〜8割入れておきます。


(仕掛けの写真)
針に餌を付けたら、利き手ではない方の手でペットボトルを投げる方向に向けて持ち、利き手でおもりの付いているラインを 持って、振り子の原理で下投げして仕掛けを飛ばします。


(投げている写真)
投入し終えたらペットボトルを立てて糸を張っておきますが、このペットボトルは魚がかかると糸が引っ張られて倒れます。 仕掛けの回収は、ペットボトルに糸を巻きながら回収するのではなく、とりあえず仕掛けを引っ張り上げます。 ウナギがかかっていれば、メソやエンピツだとなんとなく重いかんじ、40〜60cmほどのものはググッ、ググッと断続的に 引っ張るかんじ、それ以上のものは大暴れしたり大人しかったりであまり傾向はありませんが、糸を引っ張っているときにだいたいの サイズが分かります。(外道も大まかにスズキ、ハゼ類くらいは分かります)ウナギの糸を引っ張る力は強く、またこの釣り方では 糸を直に持って手繰るため、竿釣りとはまた違った引き味を楽しむことができます。

ペットボトル釣法では、ペットボトルが竿、リール、そして鈴(パタンと倒れる音がする)の役目を果たしており、非常に 簡単な仕掛けでありながら合理的、かつ経済的な仕掛けです。経済的で投げる方向の調整も比較的容易なため、 一度にたくさんの仕掛けを置くことができます。
ただ、この釣り方はおもりが軽いため流れの早い場所に不向きで、また大河川などでポイントが岸から遠い(30m以上)場合には 使えないという問題点もあります。ペットボトル釣法について詳しくはこちら(日本淡水魚類愛護会 ペットボトル釣法)。

・ぶっこみ釣り(投げ釣り)
河川下流域で主に行われている釣り方です。 道糸におもりを結び、その先にハリスを20cm〜1mほど出してウナギ針を付けます。おもりの形態はさまざまですが、中通しタイプのものや、 天秤オモリ、また流れの強いポイントではスパイクおもりも使われています。 投げ竿はどんなものでも構いません。私は大手チェーンの釣具屋で購入した500円ほどの安竿や、いわゆるチョイ投げ用の竿を使っています。 ウナギ釣りは基本的には夜の釣りであるため、竿の先には鈴や、ケミホタルを付けます。
私はぶっこみ釣りはあまりせず、せいぜいペットボトルを仕掛けるついでに1,2本出す程度です。中には立派な磯竿を何本も並べて釣って いる方もいます。たしかに長くて立派な竿を使えば飛距離は出ますが、ウナギ釣りは遠く飛ばせば良いという釣りではありません。

・ウナギ筌(ノドキ・ウエ)
ウナギ筌は竹で編んだ漁具で、入口にカエシが付いています(セルビンなどと同じ仕組み)。この中にウナギの餌となる、 スジエビ類や、ミミズ、シジミやタニシなどの貝類をすり潰したものを入れ、流れに沿って水中に沈めます。するとウナギが エサのにおいにつられて中に入り、出られなくなっているところを水から引き上げて捕ります。


(ウナギ筌の写真)

(別のウナギ筌。こちらはカエシ部分の写真)
この筌はウナギ以外にもさまざまな魚介類を捕るために使われています。同様な原理のものとして、コロバシやウナギ籠 といったものがあります。写真のように竹で編んだものにもさまざまな形状があり、プラスチック製のものも市販されています。

・竹筒漁(ツツッポ)
竹筒漁は実に受動的な漁法です。まず孟宗竹(モウソウチク)を長さ60〜90cmほどに切り、 半年ほど放置したのち木の棒などで節を抜いて重しと共に水に沈めておきます。水に沈めることによってアクが抜け、 また沈みやすくなります。
(青竹のまま沈めた方が何もせずとも沈み、またついでにアクも抜けて良いという説もあります)


(切った竹の写真)

(束ねた状態写真)
これを2本または3本まとめて紐で縛り、吊るした時にちょうど水平になるよう重心付近に紐を付けて、水中に沈めます。 沈める場所は、汽水域であれば潮通しの良い場所で、かつ大潮の潮汐で水から出ないくらいか、又は 流心に流れに沿って仕掛けます。これに何日か経つとウナギが入り、すみかとして利用するようになるので、ウナギが入った 頃合いを見計らって日中に引き上げます。 筌とは異なり、来るもの拒まず、去る者追わずな漁法です。


(筒上げ時の写真)
引き上げる際には筒が傾かないようにし、水面ギリギリまで来たところで片側に網を当て、網側に傾けると ウナギが出てきます。ここで誤って筒を引き上げ過ぎてどちらか側から筒に空気が入ってしまうとウナギが気付いて 逃げてしまうため注意が必要です。 (このとき使用するタモ網は通常のものでは網が浅く?ウナギに逃げられやすいため、ウナギタモと呼ばれる 網部の長いタモ網を使用します。)


(ウナギタモの写真)
この漁法は魚体が傷付きにくく、また手軽なことから、現在天然ウナギの漁法として広く行われています。 竹筒は塩ビや、鉄パイプで代用可能です。

・石倉漁(イシグロ)
石倉漁も竹筒漁のように受動的な漁法ですが、竹筒漁よりも大がかりです。また、潮汐の影響のある汽水域に特有の漁法です。
まずは大潮干潮時に水深がある程度浅くなる、潮通しの良い場所を選び、礫底の場合は少し掘ります。 そこに大きな川石を50〜200個ほど積み上げ、山(石倉・石積み)にします。この中にウナギをはじめ、さまざまな 生き物が住み着きます。


(石ぐろの写真)
この周りに杭を打ち、特殊な網をかけてウナギが逃げないよう石倉を囲み、中の石を取り出します。 取り出した石は同時にまた別の場所に積んで、再び石倉漁に利用します。石をすべて取り出したら、網の中の ウナギをウナギバサミで挟んだり、袋網と呼ばれるカエシのついた胴網部分に追い込んで取り上げます。多いときには 30〜50尾ものウナギが捕れますが、主に河川管理上の理由から多くの都道府県で禁止されています。


(漁の写真)

(漁獲写真)
この漁は通年行われますが、特に秋は多くのウナギが産卵を控え川を下ってくるため、多くのウナギが石倉に入ります。 石倉にはウナギ以外にも、マハゼ、ウロハゼ、テナガエビ、モクズガニなどがよく入ります。

・はえ縄漁
はえ縄とはPE糸やタコ糸などの太めの糸(幹縄)に、1〜1.5mほどの間隔でハリスとウナギ針(枝糸)を結んだものです。 夕方、これを川の岸沿いの掘れている部分や、流心など、ウナギの潜んでいそうな場所に仕掛け、翌朝まだ暗いうちに引き上げます。 明るくなるとかかったウナギが暴れ、バレてしまったり幹縄に絡んでしまうため注意が必要です。 はえ縄が浮いていてはウナギは捕れません。両側や、縄の途中途中にオモリを付けて沈めます。 本職の漁師の場合100mを超える大掛かりなはえ縄を使用することもありますが、私は使いやすさから15〜20mほどのものを 複数使用しています。


(漁の写真)

(はえ縄の写真)
幹縄にそのまま枝糸を結ぶと、ウナギなどの獲物が掛った際にねじれが生じ、絡まったり糸切れの原因になることがあります。 この仕掛けでは各枝糸の接続部分にローリングサルカンを使用しているため、ねじれをある程度回避することが可能です。

・ウナギ突き
深夜、水中がよく見える川や、浅瀬ではヤスを使ってウナギを突くことができます。
ウナギは一突きしただけでそのまま陸に上げようとすると体をヤスの柄に巻き付け、体全体をうまく使ってヤスから抜け出してしまいます(写真の矢印)。ウナギを突いたら、 まずは魚体にしっかりとヤス先を食いこませ、貫通させて、手で掴みながらヤス先を捻るように上げると逃がしにくくなります。
ヤス自体は1000円未満のの安価なものが釣具屋などで普通に手に入ります。しかし安価なヤスはヤス先が折れやすく、消耗品となってしまうことが多いです。 またヤスゴムも度々切れてしまうので、ゴムを付け換える必要があります。


(漁獲写真)

・ウナギ掻き漁
今ではほとんど行われなくなりましたが、かつてはウナギ捕りの方法の中でも最もメジャーであったもののひとつでした。 ウナギ鎌と呼ばれる道具を用いて、川底に潜っているウナギを引っ掻けて捕ります。


(ウナギ掻きの写真)

ウナギ掻きにも色々な種類があり、写真のように複数鉤が付いているものと、単体のもの。また、鎌先の 歯の数も1本から複数までさまざまです。掻き方にも手掻きと舟掻きの二種類あり、その掻き方にも流派が あったようですが、今となってはいずれも風前の灯となってしまいました。


(舟掻きの写真)



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